ガミースマイルの原因と治し方【手術・ボトックス・矯正まで】

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笑ったときに歯ぐきが大きく見える「ガミースマイル」。とっても素敵な笑顔ですが、自分のことだと気になる方もいるかもしれません。

その原因は(上唇を上げる筋肉の過活動)・骨格(上顎が成長しすぎている)・歯肉(歯茎からでている歯の部分が少ない)・歯列(噛み合わせ/前歯の位置)によるものに分けられ、原因ごとに治療法が異なります。

本記事では、適応の見分け方から各治療のメリット/デメリット、費用、ダウンタイムまで要点を整理します。

ガミースマイルとは?

笑ったときに上の前歯の歯茎が3mm以上出ている状態を一般にガミースマイルと呼びます。審美的な悩みとして相談が多い一方で原因は多岐にわたり、まずは診断が重要です。

※噛み合わせ・顎や顔の形・歯のまわりの組織の状態により、歯科と口腔外科、矯正歯科の連携診療が推奨されます。

治療法一覧(メリット・デメリット・費用)

軽度~中等度ボトックス注射

  • 内容:鼻の横から上唇にかけて走る、上唇を上げる筋肉(上唇挙上筋群)へボツリヌストキシン注射
  • 効果の持続:3~6か月(繰り返し注射をすることで効果が延長)
  • メリット:即効性がある、ダウンタイムが最小
  • デメリット:繰り返しの投与が必要/表情の違和感がまれにある
  • 費用目安:3~6万円/回
  • 注意点:当日メイク・飲食可/激しい表情運動・サウナは24時間控える

歯冠短小型歯冠長延長術(クラウンレングスニング)

  • 内容:前歯を覆っている余分な歯肉を切除+必要に応じて骨整形(歯ぐきやその下の骨を削って形を整え、歯の見えている部分を長くする)/必要に応じてセラミック補綴を併用することで、歯の形・長さ・色をより整えて自然なスマイルラインを作れる
  • 持続:長期的に安定する
  • メリット:前歯の縦比率が改善、ホワイトニングやセラミック補綴と相性が良い
  • デメリット:腫れ・出血(1〜2週間程度)/歯頸線(歯の見えている部分である歯冠部と、歯ぐきや骨の中にある部分の間である歯根部のこと)が下がり虫歯や歯周病のリスクの増加/知覚過敏が出ること
  • 費用目安:5~15万円/部位
  • 注意点:傷部分のブラッシングは術者の指示に従う必要がある

歯列要因矯正治療(マウスピース/ワイヤー矯正)

  • 内容:マウスピースやワイヤー矯正などの矯正器具を装着し、前歯を少し押し下げることで高さや傾き・咬み合わせを整える/歯の位置を直す
  • 期間:1~3年(症例差あり)
  • メリット:噛み合わせも同時に改善する
  • デメリット:期間が長い・定期通院が必要なため負担となる/歯の固定が必須
  • 費用目安:80~150万円
  • 注意点:装置装着後に違和感や疼痛があるが、数日で軽快することがおおい/矯正器具の装着指示を厳守する必要がある

重度骨格性外科矯正(上顎骨切り術)

  • 内容:上あごを上に動かす手術(インパクション)、後ろに動かす手術(セットバック)といった、かみ合わせと見た目のバランスを整えるための骨の位置調整を外科的手術で行う/必要に応じて、術前や術後に矯正が必要となる
  • 期間:手術・入院を含め約1~2週間、前後に矯正が必要であれば3〜4年
  • メリット:根本的な治療であり、横顔や笑顔が自然で美しいバランスになる
  • デメリット:施設により入院が必要/全身麻酔・手術による合併症のリスク/回復に時間がかかる
  • 費用目安:保険適用あり(顎変形症の診断等)、自費の場合200万円~
  • 注意点:社会復帰は数週~、腫れは2週を目安に軽快

唇高位型リップリポジショニング

  • 内容:上唇の裏側の粘膜を部分切除し、上唇の上がりを抑制する
  • 持続:個体差あり(再発の可能性)
  • メリット:歯・骨に触れずに改善できる
  • デメリット:笑い方や癖で効果が変動する
  • 費用目安:20~50万円
  • 注意点:口唇の突っ張り感が一時的にあるため、大笑いや強い開口はしばらく控える

治療法の比較表(要点まとめ)

治療適応効果の速さ持続ダウンタイム費用目安
ボトックス筋過活動・軽中等度◎(数日~2週)▲(3~6か月)3~6万円/回
歯冠長延長術歯冠短小・過剰被覆○(治癒後)◎(長期)△(1~2週)5~15万円/部位
矯正治療歯列・前歯位置△(数か月~)◎(保定前提)80~150万円
外科矯正骨格性・重度○(術後)×(数週~数か月)保険/自費200万円~
リップリポジショニング唇高位・筋要因○~▲20~50万円

禁忌・注意:妊娠/授乳期はボトックスを避ける、歯周病活動期は外科前に基本治療、抗凝固療法中は主治医と相談

※費用・期間は目安です。医療機関・症例・保険適用条件により変動します。

治療の選び方フローチャート

  1. 原因を特定:写真・動画・咬合検査・CT・レントゲンで評価する
  2. 軽度なら:まずはボトックスで反応を見る → 継続 or 併用を判断
  3. 歯冠短小:歯冠長延長術(必要に応じて補綴/ホワイトニング併用)
  4. 歯列要因:矯正
  5. 骨格性重度:外科矯正を検討(矯正医・口腔外科医へ相談)

よくある質問

どのくらい歯ぐきが見えたら治療対象ですか?

審美の許容範囲は個人差がありますが、笑顔で歯肉露出が約3mmを超えると治療相談が増えます。気になるかどうかが最も大切です。

ボトックスで笑顔が不自然になりませんか?

適切な量と部位選択で不自然さは最小化できます。初回は少量から開始し、2週後に微調整する方法が安全です。

セラミックだけで治せますか?

歯冠長延長術とセラミック補綴を組み合わせると審美的に整いやすいですが、骨格性のガミーでは限界があります。原因に合わせた併用が鍵です。

まとめ:原因に合わせて最短ルートを選ぶ

ガミースマイルは原因の特定→適応に合う治療の選択が最短ルートです。軽度はボトックス、中等度は歯冠長延長や矯正、重度は外科矯正を軸に、必要に応じて併用します。

気になる方は、歯科医院で相談してみましょう。

※本記事は一般的情報であり、個別診断・治療計画は来院後に医師が説明します。

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