【歯を守る新しい治療法】VPT(生活歯髄療法)とは?

近年、歯科医療では「できるだけ歯を残す」ことが重視されています。その中で注目されているのがVPT(Vital Pulp Therapy:生活歯髄療法)です。
VPTは、むし歯が神経(歯髄)に近づいている場合でも、歯を抜かず、神経を可能な限り残すことを目的とした治療法です。

VPT(生活歯髄療法)とは?

VPTとは、むし歯が深く進行して神経に近接、あるいは一部神経が露出した場合に、歯髄をすべて取らずに一部を保存する治療です。
従来であれば根管治療(神経をすべて除去する処置)が選択されるケースでも、最新の材料や技術を用いて神経の生活反応を維持できる可能性が高まっています。

VPTの適応症

  • むし歯が大きいが、歯髄の炎症が初期段階である場合
  • 一部の神経が露出しているが、まだ生活反応がある場合
  • 若年者の歯(神経が豊富で治癒力が高い)
  • 歯の保存を優先したいケース

VPTの治療の流れ

  1. 診査・診断:レントゲンや電気歯髄診などで歯髄の状態を確認します。
  2. むし歯の除去:感染した象牙質を丁寧に取り除きます。
  3. 部分的な歯髄切除:炎症のある部分の神経だけを除去します。
  4. 覆髄材の適用:MTA(Mineral Trioxide Aggregate)やバイオセラミック系材料で封鎖し、歯髄の治癒を促します。
  5. 修復処置:コンポジットレジンやクラウンで歯を補強します。

VPTのメリット

  • 歯の神経をできるだけ残せる
  • 歯の寿命を延ばすことができる
  • 根管治療に比べて治療回数や時間が少ない
  • 痛みが出にくくなる場合がある

VPTのデメリット・注意点

  • 炎症が進行している場合は成功しにくい
  • 術後に痛みや症状が再発する可能性がある
  • 最終的に根管治療が必要になることもある

VPTの成功率

適切な症例選択と材料の使用により、VPTの成功率は約80〜90%と報告されています。
特にMTAや新しい覆髄材を使用した場合、高い予後が期待できます。

まとめ

VPT(生活歯髄療法)は、「歯をなるべく残したい」というニーズに応える新しい治療法です。
すべての症例で適応できるわけではありませんが、条件がそろえば歯の寿命を大きく延ばせる可能性があります。
「大きなむし歯だけど歯を抜きたくない」「神経を全部取りたくない」という方は、一度歯科医院で相談してみてください。

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