7遠心(最後方)の印象は「欠ける」「気泡が入る」「マージンが読めない」などトラブルが起きやすい部位です。
遠心を削合して引き抜き方向を整えた後は、形成と歯肉の状態が整っていれば2回法(パテ→ウォッシュ)で問題なく印象できます。
ここでは、失敗しやすいポイントを潰しながら、実際の手順を整理します。
印象前のチェック(ここが最重要)
印象材のテクニック以前に、以下ができていないと失敗しやすいです。
- アンダーカット・段差が残っていないか(撤去時に欠ける原因)
- マージンが明瞭に見えるか(出血・滲出液があると再現性が落ちる)
- 削片、テンポ材、レジン片などが残っていないか(気泡・欠けの原因)
- トレーが最後方まで届くか
- 上顎:結節周囲まで
- 下顎:後臼歯部の舌側・レトロモラーパッド周囲まで
使用物品(目安)
- トレー(最後方までカバーできるサイズ)
- トレー接着剤(必須)
- シリコーン印象材(パテ+ウォッシュ)
- リリーフ用器具(カーバイドバー等)
- 必要に応じて:圧排糸、止血剤、吸湿・乾燥器具
手順:2回法(パテ→ウォッシュ)
① パテ1回目(一次印象)
- トレーに接着剤を塗布(塗りムラ注意)
- パテを盛り、最後方まで確実に圧接
- 硬化まで保持
※この時点で「最後方が薄い」「遠心が欠けそう」な形だと、2回目で失敗しやすいです。
② リリーフ(ウォッシュスペース作り)
2回法で最も重要なのが「ウォッシュが流れるスペース」です。
- 7遠心・マージン周囲を中心に1〜2mm程度のリリーフを作る
- 遠心だけ“薄く当たっている”状態だと、ウォッシュが押し出されて遠心欠けやマージン不良につながります。
③ ウォッシュ2回目(精密印象)
- 可能なら圧排・止血を行い、マージンを明瞭化
- 乾燥→すぐウォッシュ注入(乾燥と再湿潤を繰り返さない)
- 先にシリンジでマージン周囲・7遠心を満たす
→ 空気を巻き込みやすい部位なので、ここを丁寧に - トレー側にもウォッシュを盛り、口腔内へ圧接
- 硬化まで動かさない
成功率を上げる「チェックポイント」
✅ 1)7遠心は「欠ける前提」で対策する
- 最後方までトレーが届いているか
- パテ一次で最後方が薄くなっていないか
- リリーフが遠心に足りているか(ここが一番多い失敗原因)
✅ 2)ウォッシュは“先に遠心を満たす”
- シリンジで遠心→マージン周囲を先に
- その後トレー圧接
これだけで気泡がかなり減ります。
✅ 3)撤去方向は「形成した引き抜き方向にまっすぐ」
- 揺らすと最後方がちぎれやすい
- 外すときは一気に、まっすぐ(ゆっくりグネグネはNG)
よくある失敗と対策
失敗①:7遠心が欠ける
原因:トレーが浅い/一次が薄い/リリーフ不足/撤去方向がブレる
対策:最後方まで届くトレー+遠心のリリーフ増量+撤去方向をまっすぐ
失敗②:遠心に気泡が入る
原因:シリンジが遅い・空気巻き込み
対策:遠心を先に満たしてから圧接(ウォッシュは迷わず連続で)
失敗③:マージンが読めない
原因:出血・滲出液、圧排不足、乾燥不十分
対策:止血→乾燥→即注入、必要なら圧排(糸 or ペースト)
うまくいかない時の代替案
- どうしても欠ける/嘔吐反射が強い場合 → 1回法(ヘビー+ライト同時)やIOS(口腔内スキャン)の方が安定することがあります。

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